祭り2

とある村で祭りを楽しんでいる一同。道には、色々な屋台が並んでいる。
りんご飴、やきそば、チョコバナナ、射的、くじ引き、あんず飴、おめん、わたあめ、ハッカパイプ、お好み焼き、ボールすくい、金魚すくい、ヨーヨー等々……
ゲンキ「な~ホリィ、金魚すくいしたいって~!」
ゲンキは、金魚すくいの屋台を指差しながらそう言う。
オルト「だから、あんなちっこい魚捕まえてどうするんだよ。」
オルトは、そうツッコミを入れる。
スエゾー「せやで、あないな小さいの、腹の足しにもならへんやないか。」
スエゾーも、それに続くようにそう言う。
ゲンキ「あのな、金魚すくいってのは、日本では祭りの醍醐味なんだぜ?持って帰らなくとも、やる事に意味があるんだ!」
ゲンキは、ぐっと拳を握り締めてそう言った。「(またワケの分からない事を……)」そう思って、ホリィ達は呆れた。
ニナ「……ニホンって?」
ニナは、首を傾げて問いかける。
サンダー「……人間界の、とある島国だよ。げんきの故郷なんだろ。……創り主サマの故郷も日本だったけどな。」
サンダーは、ニナの問いにそう答えた。
ゲンキ「なぁ、頼むよホリィ。」
ゲンキはそう言って、両手を合わせて頼む。
ホリィ「……もう、仕方ないわね。一回だけよ。」
ホリィはそう言って、ゲンキに金魚すくいの代金を渡した。
グミ「あ、僕もやりた~い。」
グミモンは、手を挙げてそう言う。
モッチー「モッチーもやりたいッチ!」
モッチーも、グミモンと同じように手を挙げてそう言った。
ホリィ「……じゃ、2人も一回だけよ。」
ホリィは、そう言って2人にもゲンキに渡したのと同じだけのお金を、それぞれに渡した。
2人は、代金を受け取ると、ゲンキのいる金魚すくいの屋台へと向かった。…一同も、その後からついて行く。
ゲンキ「お、お前らもやるのか?」
ゲンキの問い掛けに、2人は笑顔で頷いた。
グミ「おじさ~ん、僕にも一回~。」
モッチー「モッチーもッチー!」
2人は、屋台のおじさんにお金を渡してそう言った。…すると、おじさんは笑顔で道具を渡した。
道具を受け取って、2人は金魚をすくおうとする。……しかし、あっという間に紙が破れてしまった。
グミ「あ~あ~。」
モッチー「破けちゃったッチー……。」
グミモンとモッチーは、残念そうに、破れてしまった自分のポイ(金魚すくいに使う紙が貼ってあるやつ)を眺めて言った。
ゲンキ「へっただなぁ。……こうやるんだよ。」
ゲンキは、ケラケラと笑ってそう言うと、器用に金魚を何匹もすくっていく。
モッチー「すごいッチー。」
モッチーもグミモンも、上手に金魚をすくうゲンキを感心して眺める。
ゲンキ「だろ~。……よ~し、じゃあ次はおっきいのを…!」
ゲンキはそう言って、大きい金魚をすくおうとする。……しかし、ポイはその重みに耐え切れずに破れてしまった。
モッチー「チー……。」
グミ「あ~あ、破けちゃった~。」
モッチーとグミモンは、がっかりしてそう言った。それにゲンキは苦笑しつつ、すくった金魚を水槽に戻して立ち上がった。
ゲンキ「さ、行こうぜ。」
ゲンキがそう言うと、一同は再び歩み始める。
スエゾー「……ホリィ、あっちのやきそば食いたい。」
スエゾーは、やきそばの屋台を見つけると、そう言った。
ホリィ「またぁ?さっきりんご飴食べてたじゃない。」
ホリィは、怪訝な顔で答える。
スエゾー「あれは飴で、おやつや!せやけど、今度のは主食や!」
スエゾーはそう訴える。
ホリィ「だーめ。無駄遣いは出来ないんだから。」
ホリィは、そう言ってまた歩き出す。……すると、空が光り、それと同時にドォンという音が聞こえた。
その音に一同が振り向くと、そこでは花火が消えかかり、そしてまた他の花火が上がってきていた。
ニナ「うわぁ……キレイ…。」
ニナは、感嘆の声を洩らした。……他の一同も声には出さねど、ニナと同じ思いだった。
そうして一同は、しばらく空に上がる綺麗な花火を眺めていた。


© Rakuten Group, Inc.